3週間ぶりの更新となる「モチベーションを保つ自己管理術」ですが、今回から大きく話の内容が変わります。今まで、スティーヴン・コヴィ氏の『7つの習慣』の導入、第1~第3の習慣について要約して紹介してきましたが、その内容は全て(原著の言葉をそのまま引用すると)「私的成功」に関する内容でした。つまり、自分自身を自制すること、自立すること、自分自身に対しての成功なしに、人と共に成功をすること、社会的な成功をおさめることは不可能である、という著者の考えに立って紹介してきました。

 

 

第四の習慣から第七の習慣までは、「公的成功」に関わる内容になってきます。

今回は、第四の習慣を紹介する前に、「公的成功」をおさめるための基本となることをまとめていこうと思います。受験と何の関係があるのか、と疑問を持つ人も多いかもしれませんが、受験、大学生活、就職、結婚、子育てなど、人生という長期的な視座に立って文章を構成しているので、大は小を兼ねるというスタンスで、受験に当てはめて読み進めてもらえたら幸いです。

 

 

さて、「公的成功」という言葉を見て、どういうイメージを持ったでしょうか?

早稲田に合格する、有名企業に合格する、国家公務員一種試験に合格する、司法試験に合格する、ミス早稲田と結婚する…様々イメージをして、公的成功=社会的名声を得る、と解釈した人も多いと思います。私も最初はそう思いました。しかし、『7つの習慣』で書かれている公的成功は、そういう目に見える肩書きや成功というよりもむしろ、「人と人との間で起こりうることについて成功する、人間関係について成功する」ということを目的としています。もともとビジネス書というジャンルですから、上司と部下の関係、妻と夫の関係、父と息子の関係として本人の経験をもとに豊富な具体例が紹介されながら、成功へのプロセスが説かれています。

 

 

私的成功から公的成功について転換する前に、原著では「信頼残高」というキーワードが登場します。この信頼残高が高いか低いかで、コミュニケーションが容易になるのか、難儀になるかを左右するというのです。

 

 

抽象的な話を続けても話が見えてこないので、親子関係での「信頼残高」について具体例をあげながら紹介しようと思います。

太郎(仮名)という男の子は高校3年生で、高校1年生の弟(次郎)がいます。太郎は都立では三番手校と呼ばれる学校に通っており、弟の次郎はトップ校といわれる名門都立に通っています。太郎は長男ですが、高学歴の両親も、初めての大学受験ということで太郎がどこの大学に行くのかとても気にしています。太郎が家に帰ってきて、風呂に入り、ご飯を食べ、「ふー」と一息ついてソファに座り、リビングでTVを観ようとすると、「勉強はしなくていいの?大学は国立に行くのよね?」とお母さんが声をかけました。お母さんは続けました。「次郎はこの前の中間テストで学年5番だったのよ?お兄ちゃんなんだから、あなたももう少し勉強しないと。」お母さんとしては、嫌味を言ったつもりはありませんでしたが、太郎は「わかってるよ!」と少し声を荒げながら自分の部屋に戻っていきました。

太郎はイライラして、鬱憤を晴らすために机に向かって漫画を読んでいます。30分だけ読んで、それから受験勉強をしようと思っていました。気持ちも静まり、さて、そろそろ勉強をしないとまずいな、と本人が思っていたこと、ちょうどお父さんが帰ってきました。

「コンコン」とノックをして、お父さんが太郎の部屋に入った時、太郎は漫画を読んでいます。それを見たお父さんはこう言いました。「何だ、太郎、そんなに余裕があるのか。さっきもリビングでテレビを観ていたとお母さんから聞いたぞ。そんなことで国立大学に行けるのか?」太郎は、「わかってるよ!今勉強しようと思ったところなんだよ!」と答えます。それに対してお父さんは、「少しは次郎を見習いなさい。」と言葉を返しました。

 

 

「信頼残高」とは、ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現であり、言い換えれば、その人に接する安心感という具合のものでしょう。

たとえば、三郎と花子というカップルがいたとして、三郎がたまたま新宿の街を歩いている時、花子が喫茶店で面識の無い男と一緒にお茶を飲んでいるのを見かけたとします。

三郎と花子の信頼残高が高ければ、三郎は花子と一緒にいる男を見て、もしかしたら喫茶店に入って、「たまたま外から見かけたから」と自然に話かけて、花子の方も、「いとこの四朗が今家に来てて、新宿を案内していたところなの」と伝え、もしかしたら3人に会話の花が咲くかもしれない。逆に信頼残高が低ければ、その光景を見た瞬間三郎の心の中には、「花子が知らない男と一緒にお茶をしている。俺に黙って浮気をしている。許せない。」という思いがわき、夜になって呼び出して、「携帯を俺に見せろ」と花子にせまるかもしれない。花子の方も、「どうして?」と聞くが、「何か隠し事をしているから見せられないのか?」と問い詰め、「隠していることなんかないけど、何を疑っているの?見せたくない」という具合になるだろう。

 

 

つまり、同じ現象が目の前に起こったとしても、信頼残高が高いと低いでは、全く違う結果に陥るということだ。

 

 

太郎の家庭はどうだろうか。もしかしたらこの記事を読んでいる受験生の中にも、同じような境遇に置かれている人がいるかもしれない。太郎の親は「国立大学」を前提にしているが、もしかしたら太郎は私立W大学へ行きたいと思っているかもしれない。漫画を30分と決めていたように、TVも30分だけと決めていたかもしれない。本人も弟の存在は意識しており、兄としてプライドを見せるためにも親に認められたいと思って努力している部分もあるかもしれない。しかし、太郎が心の中で何を考えているか、そのことを先に察する前に親から一方的に太郎が望まぬ言葉を浴びせられ、勉強へのやる気を思わぬところでくじかれているという現状ではないだろうか。親子の信頼残高は、そのような日常のすれ違いによって少しずつ「引き出され」、残高へ減っていく一方だ。残高がマイナスになってしまえば、どのようなコミュニケーションも「不信感」を根底に置いてなされてしまうことになる。

 

 

では、信頼残高を高めるためにはどうしたらよいのだろうか。スティーヴン氏は以下の7点についてわかりやすく説明している。

(1)  相手を理解する

(2)  小さなことを大切にする

(3)  約束を守る

(4)  期待を明確にする

(5)  誠実さを示す

(6)  引き出しをしてしまったときは、誠意をもって謝る

 

(1)  相手を理解すること。

相手を理解するというのは、相手にこうして欲しい、こうであって欲しいというのを押し付ける前に、その人が何を望んでいるのか、何をしようとしているのか、その人の立場に立って考えることである。条件をつけてこうやってくれれば自分もこうする、とか、自分がこうやったのだから相手もこうしてくれて当たり前だ、という利己心を取り払って向き合うことが必要になる。

 

(2)  小さなことを大切にする

「髪の毛切ったんだね」その一言で、自分のことを見てくれているんだな、そう思うこともある。前話した話をちゃんと覚えてくれていると感じただけで、大事にしてくれているのだな、それが分かることもある。

 

(3)  約束を守る。

逆に、約束を守らなかった時のことを考えてみよう。次のテストで、○○は絶対出すからな!と言った先生が、実際のテストでそれを出さなかったとしよう。その先生は生徒と会う度に、○○は?と聞かれることになるだろう。

 

(4)  期待を明確にする。

これについては少しわかりにくいかもしれない。たとえば家のゴミ出しを週に1回は太郎がやることになっていたとする。ある週太郎は次郎と話をして、今週のゴミ出しは朝練の関係でできないから、次郎に頼んでいたとしよう。次郎は確かに約束をしたのたが、次郎がそれを忘れてしまって、家に帰ってきたところ「どうしてあなたはゴミ出しをしなかったの!」と怒られてしまったとしよう。小さなことではあるが、約束を守らなかった次郎に対しても、頭ごなしに叱られたことで親に対しても、信頼残高は引き出されることになりかねない。

「あの時こう言ったじゃない」

「いや、言っていない。俺がいったのはこうじゃなくてああだ。」

というようなケンカは、家庭ではなく職場でも見られる。学校でも見られるかもしれない。

 

(5)  誠実さを示す。

「信頼がなければ、友情はない。誠実さがなければ、信頼はない。」この章の冒頭はこの言葉から始まっている。

誠実さを示す重要な方法の1つは、その場にいない人に対して忠実であることだ。

どこででも見られることだが、その場にいない人に対する悪口を聞くことが多い。

もしくは、「あなただから言うのだけど、これは○○から秘密だと言われているのだけど」などと言って人の秘密を話す人がいる。その秘密を打ち明けられた人は、自分の秘密もこのように人に話しているのか…と、その人に対して幻滅してしまうことだろう。

また、「人のふり見てわが身を正せ」や、「人の目のちりを取ろうとする前に、自分の目にささった梁(はり=天井を支える大きな柱のようなもの)を抜け」などという言葉があるように、人のあら探しをしたり、揚げ足を取るようなことをせず、

人の欠点に接しても、「まず批判ありき」という姿勢を改め、たえず自分自身を顧みる姿勢に誠実さはあらわれるのではないだろうか。

 

(6)引き出してしまったときは、誠意をもって謝る。

素直に謝れる人は、人望を得る。「実るほど、こうべを垂れる、稲穂かな」という言葉があるように、謙遜である人は自分の過ちに対して意地をはることもない。その結果、助言を得やすくなり、新しい知識や考えを吸収し、成長する。また素直な謝罪に対して、心を打たれる人は多い。誠意ある謝罪によって、許し以上のものを得ることもあるのだ。

 

今回は「信頼の残高」ということについて記事を書きました。

受験とは何の関係も無いじゃないか、そう言われたら、そうかもしれない。

でも、受験も一人でするものではないと思うからこその記事だと思ってください。

学費を出すのは誰ですか?普段、お弁当を作ってくれる人は誰ですか?親の協力と理解無

しに、大学へ行けますか?

勉強をするにも、人と人との間の「公的成功」が必要です。

学校の先生、ライバルであり仲間でもある友達、いろんな人と人の間の中で、大学受験

へ向かっているということも忘れないでください。

今回の記事と、これから第四、第五、第六の習慣は特に、人間関係についてのことがメイ

ンになっています。

 

 

勉強だけができれば成功できるわけではありません。受験を通しても、自分自身の人間性

を磨き、高め、己を変化させながら、早稲田大学を目指して欲しいと思います。

 

 

 

 

 

 


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