『モチベーションを保つ自己管理術 5』

3週間ぶりの更新となる「モチベーションを保つ自己管理術」ですが、今回から大きく話の内容が変わります。今まで、スティーヴン・コヴィ氏の『7つの習慣』の導入、第1~第3の習慣について要約して紹介してきましたが、その内容は全て(原著の言葉をそのまま引用すると)「私的成功」に関する内容でした。つまり、自分自身を自制すること、自立すること、自分自身に対しての成功なしに、人と共に成功をすること、社会的な成功をおさめることは不可能である、という著者の考えに立って紹介してきました。

 

 

第四の習慣から第七の習慣までは、「公的成功」に関わる内容になってきます。

今回は、第四の習慣を紹介する前に、「公的成功」をおさめるための基本となることをまとめていこうと思います。受験と何の関係があるのか、と疑問を持つ人も多いかもしれませんが、受験、大学生活、就職、結婚、子育てなど、人生という長期的な視座に立って文章を構成しているので、大は小を兼ねるというスタンスで、受験に当てはめて読み進めてもらえたら幸いです。

 

 

さて、「公的成功」という言葉を見て、どういうイメージを持ったでしょうか?

早稲田に合格する、有名企業に合格する、国家公務員一種試験に合格する、司法試験に合格する、ミス早稲田と結婚する…様々イメージをして、公的成功=社会的名声を得る、と解釈した人も多いと思います。私も最初はそう思いました。しかし、『7つの習慣』で書かれている公的成功は、そういう目に見える肩書きや成功というよりもむしろ、「人と人との間で起こりうることについて成功する、人間関係について成功する」ということを目的としています。もともとビジネス書というジャンルですから、上司と部下の関係、妻と夫の関係、父と息子の関係として本人の経験をもとに豊富な具体例が紹介されながら、成功へのプロセスが説かれています。

 

 

私的成功から公的成功について転換する前に、原著では「信頼残高」というキーワードが登場します。この信頼残高が高いか低いかで、コミュニケーションが容易になるのか、難儀になるかを左右するというのです。

 

 

抽象的な話を続けても話が見えてこないので、親子関係での「信頼残高」について具体例をあげながら紹介しようと思います。

太郎(仮名)という男の子は高校3年生で、高校1年生の弟(次郎)がいます。太郎は都立では三番手校と呼ばれる学校に通っており、弟の次郎はトップ校といわれる名門都立に通っています。太郎は長男ですが、高学歴の両親も、初めての大学受験ということで太郎がどこの大学に行くのかとても気にしています。太郎が家に帰ってきて、風呂に入り、ご飯を食べ、「ふー」と一息ついてソファに座り、リビングでTVを観ようとすると、「勉強はしなくていいの?大学は国立に行くのよね?」とお母さんが声をかけました。お母さんは続けました。「次郎はこの前の中間テストで学年5番だったのよ?お兄ちゃんなんだから、あなたももう少し勉強しないと。」お母さんとしては、嫌味を言ったつもりはありませんでしたが、太郎は「わかってるよ!」と少し声を荒げながら自分の部屋に戻っていきました。

太郎はイライラして、鬱憤を晴らすために机に向かって漫画を読んでいます。30分だけ読んで、それから受験勉強をしようと思っていました。気持ちも静まり、さて、そろそろ勉強をしないとまずいな、と本人が思っていたこと、ちょうどお父さんが帰ってきました。

「コンコン」とノックをして、お父さんが太郎の部屋に入った時、太郎は漫画を読んでいます。それを見たお父さんはこう言いました。「何だ、太郎、そんなに余裕があるのか。さっきもリビングでテレビを観ていたとお母さんから聞いたぞ。そんなことで国立大学に行けるのか?」太郎は、「わかってるよ!今勉強しようと思ったところなんだよ!」と答えます。それに対してお父さんは、「少しは次郎を見習いなさい。」と言葉を返しました。

 

 

「信頼残高」とは、ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現であり、言い換えれば、その人に接する安心感という具合のものでしょう。

たとえば、三郎と花子というカップルがいたとして、三郎がたまたま新宿の街を歩いている時、花子が喫茶店で面識の無い男と一緒にお茶を飲んでいるのを見かけたとします。

三郎と花子の信頼残高が高ければ、三郎は花子と一緒にいる男を見て、もしかしたら喫茶店に入って、「たまたま外から見かけたから」と自然に話かけて、花子の方も、「いとこの四朗が今家に来てて、新宿を案内していたところなの」と伝え、もしかしたら3人に会話の花が咲くかもしれない。逆に信頼残高が低ければ、その光景を見た瞬間三郎の心の中には、「花子が知らない男と一緒にお茶をしている。俺に黙って浮気をしている。許せない。」という思いがわき、夜になって呼び出して、「携帯を俺に見せろ」と花子にせまるかもしれない。花子の方も、「どうして?」と聞くが、「何か隠し事をしているから見せられないのか?」と問い詰め、「隠していることなんかないけど、何を疑っているの?見せたくない」という具合になるだろう。

 

 

つまり、同じ現象が目の前に起こったとしても、信頼残高が高いと低いでは、全く違う結果に陥るということだ。

 

 

太郎の家庭はどうだろうか。もしかしたらこの記事を読んでいる受験生の中にも、同じような境遇に置かれている人がいるかもしれない。太郎の親は「国立大学」を前提にしているが、もしかしたら太郎は私立W大学へ行きたいと思っているかもしれない。漫画を30分と決めていたように、TVも30分だけと決めていたかもしれない。本人も弟の存在は意識しており、兄としてプライドを見せるためにも親に認められたいと思って努力している部分もあるかもしれない。しかし、太郎が心の中で何を考えているか、そのことを先に察する前に親から一方的に太郎が望まぬ言葉を浴びせられ、勉強へのやる気を思わぬところでくじかれているという現状ではないだろうか。親子の信頼残高は、そのような日常のすれ違いによって少しずつ「引き出され」、残高へ減っていく一方だ。残高がマイナスになってしまえば、どのようなコミュニケーションも「不信感」を根底に置いてなされてしまうことになる。

 

 

では、信頼残高を高めるためにはどうしたらよいのだろうか。スティーヴン氏は以下の7点についてわかりやすく説明している。

(1)  相手を理解する

(2)  小さなことを大切にする

(3)  約束を守る

(4)  期待を明確にする

(5)  誠実さを示す

(6)  引き出しをしてしまったときは、誠意をもって謝る

 

(1)  相手を理解すること。

相手を理解するというのは、相手にこうして欲しい、こうであって欲しいというのを押し付ける前に、その人が何を望んでいるのか、何をしようとしているのか、その人の立場に立って考えることである。条件をつけてこうやってくれれば自分もこうする、とか、自分がこうやったのだから相手もこうしてくれて当たり前だ、という利己心を取り払って向き合うことが必要になる。

 

(2)  小さなことを大切にする

「髪の毛切ったんだね」その一言で、自分のことを見てくれているんだな、そう思うこともある。前話した話をちゃんと覚えてくれていると感じただけで、大事にしてくれているのだな、それが分かることもある。

 

(3)  約束を守る。

逆に、約束を守らなかった時のことを考えてみよう。次のテストで、○○は絶対出すからな!と言った先生が、実際のテストでそれを出さなかったとしよう。その先生は生徒と会う度に、○○は?と聞かれることになるだろう。

 

(4)  期待を明確にする。

これについては少しわかりにくいかもしれない。たとえば家のゴミ出しを週に1回は太郎がやることになっていたとする。ある週太郎は次郎と話をして、今週のゴミ出しは朝練の関係でできないから、次郎に頼んでいたとしよう。次郎は確かに約束をしたのたが、次郎がそれを忘れてしまって、家に帰ってきたところ「どうしてあなたはゴミ出しをしなかったの!」と怒られてしまったとしよう。小さなことではあるが、約束を守らなかった次郎に対しても、頭ごなしに叱られたことで親に対しても、信頼残高は引き出されることになりかねない。

「あの時こう言ったじゃない」

「いや、言っていない。俺がいったのはこうじゃなくてああだ。」

というようなケンカは、家庭ではなく職場でも見られる。学校でも見られるかもしれない。

 

(5)  誠実さを示す。

「信頼がなければ、友情はない。誠実さがなければ、信頼はない。」この章の冒頭はこの言葉から始まっている。

誠実さを示す重要な方法の1つは、その場にいない人に対して忠実であることだ。

どこででも見られることだが、その場にいない人に対する悪口を聞くことが多い。

もしくは、「あなただから言うのだけど、これは○○から秘密だと言われているのだけど」などと言って人の秘密を話す人がいる。その秘密を打ち明けられた人は、自分の秘密もこのように人に話しているのか…と、その人に対して幻滅してしまうことだろう。

また、「人のふり見てわが身を正せ」や、「人の目のちりを取ろうとする前に、自分の目にささった梁(はり=天井を支える大きな柱のようなもの)を抜け」などという言葉があるように、人のあら探しをしたり、揚げ足を取るようなことをせず、

人の欠点に接しても、「まず批判ありき」という姿勢を改め、たえず自分自身を顧みる姿勢に誠実さはあらわれるのではないだろうか。

 

(6)引き出してしまったときは、誠意をもって謝る。

素直に謝れる人は、人望を得る。「実るほど、こうべを垂れる、稲穂かな」という言葉があるように、謙遜である人は自分の過ちに対して意地をはることもない。その結果、助言を得やすくなり、新しい知識や考えを吸収し、成長する。また素直な謝罪に対して、心を打たれる人は多い。誠意ある謝罪によって、許し以上のものを得ることもあるのだ。

 

今回は「信頼の残高」ということについて記事を書きました。

受験とは何の関係も無いじゃないか、そう言われたら、そうかもしれない。

でも、受験も一人でするものではないと思うからこその記事だと思ってください。

学費を出すのは誰ですか?普段、お弁当を作ってくれる人は誰ですか?親の協力と理解無

しに、大学へ行けますか?

勉強をするにも、人と人との間の「公的成功」が必要です。

学校の先生、ライバルであり仲間でもある友達、いろんな人と人の間の中で、大学受験

へ向かっているということも忘れないでください。

今回の記事と、これから第四、第五、第六の習慣は特に、人間関係についてのことがメイ

ンになっています。

 

 

勉強だけができれば成功できるわけではありません。受験を通しても、自分自身の人間性

を磨き、高め、己を変化させながら、早稲田大学を目指して欲しいと思います。

 

 

 

 

 

 



『モチベーションを保つ自己管理術 4』

モチベーションを保つ自己管理術4 

名著を要約して紹介しながら、受験で勝利を治めるためのメンタルトレーニングができるコーナー。今回はスティーブン・コヴィ氏『7つの習慣』の第三の習慣について記事を書いていこう。

ここで少し時間をとって、次の2つの質問に対する答えを書いてみてほしい。第三の習慣を紹介するにあたって、大変重要なものになる。

第一問
「もし、常日頃から行っていれば、あなたの私生活の質を著しく向上させる活動がひとつあるとするなら、それは何だろうか。」

第二問
「同じように、あなたの仕事の業績または結果(試験の結果)を著しく向上させる活動がひとつあるとするなら、それは何だろうか。」

復習すると第一の習慣は別の言葉で言えば、「あなたは創造主である。あなたは自分で考え、自分で決められる」ということである。

第二の習慣は、第一の創造、すなわち知的創造(計画立案、材料の選定)を実際に行うことである。つまり、自分の価値観と将来のあるべき姿のビジョンを心に刻み込むことである。

したがって、第三の習慣は、第二の創造、つまり物的創造(計画の実行、素材から作品への二次創造・再創造)を行うことである。前回は、「目的」を見失わないこと。「どこを目指すのか」それを明確にしないままハシゴをかけて登りはじめると、たどり着いたところでそこが本当に目指したところで無いことに気づき、嘆く人が多いことを紹介した。
では、目標、目的、設計図を明確にしたところで、それを実行するにあたってもっとも大事になるのが第三の習慣になる。すなわち、自己管理の原則、「重要事項を優先する」ということだ。限りある時間の中で、時間の使い方、優先順位を間違えてしまえば、結果的に自己管理に失敗し、ミッションに失敗する結果を招いてしまう。

コヴィー氏は、人間の内面(精神)は、自覚、想像力、良心、そして自由意思という4つに分けられると説いているが、自分自身の運命を左右する最も大きな要因となるのが、「自由意思」だとしている。

自由意思という言葉は、もともとは宗教改革の先駆者的存在であるエラスムスが唱えた「自由意志論」、つまり神の被造物である人間は、その精神においては、神の支配を受けることはないという主張だ。つまり神の操り人間としての存在ではなく、自ら選択する存在である、ということなのだが、このようなことを触れないにしても、この記事を読む読者自身も、「自由」、言い換えば「気分」によって毎日の生活が大きく左右されているということを実感するだろう。

この自由をどうコントロールするかが、自分の成功を大きく左右することになる。
受験生であるならば、実感のわく具体例は身近なところに豊富にあることだろう。
明日、英語の小テストがあるのだけど、どうしても観たいドラマがある…とか。
今日は学校でがんばったから、本当は家で○○をやらなければいけないのだけど、少しくらいゲームをしてもいいだろう…とか。
たとえば、夏までに2kg痩せようと思っているけれど、どうしてもこの白玉プリンパフェは食べたい…とか笑
この「自由」によって、誘惑に負けてしまうことが一体人生、どれだけあるだろうか。
筆者はむしろ、全能な神の操り人形になって決して選択を誤ることなく、葛藤に苦しむことなく人生に成功できればどれだけ楽だろうかと思ってしまうこともあるほどだ。
このテーマはもはや受験の域を超えている笑

さて自分をどうコントロールするのか、その鍵となるのがモチベーションだ、という流れで、ではどうやってモチベーションを高い状態に持っていくのか、そのための自己管理術として今まで「7つの習慣」を抜粋して紹介してきた。

この第三の習慣「優先順位をつける」でも、やはり具体的に、自由意思をコントロールする工夫を見出すことができる。その工夫とは、見えない「自由意思、心」に目をやろうとするのではなく、見えない心が見える形となってあらわれる「自分自身の行動、時間の使い道」にアプローチしていくことだ。
「時間を管理する=(自由意思の結果体としての)自分の行動を管理する」という認識を持って、正確に時間を細かく区切って、自分自身把握することから始めてみよう。その際、ただ自分の行動を書きだすのではなく、以下のような分類に従って、把握してみることをすすめる。

(罫線がアップできなかった)
タテ軸に重要、重要でない
ヨコ軸に緊急、緊急でない
4つの領域ができるように線を引いて欲しい。
重要―緊急が第1領域
重要―緊急でないが第2領域
重要でない―緊急が第3領域
重要でない―緊急でないが第4領域

このような表の中に、自分の行動の全てをわけてみる。
朝起きて、顔を洗い、着替える。朝食を食べる。学校へ行く。1時間電車に乗る。6時間の授業があり、その1つ1つの授業がそれぞれ自分にとって質と内容は異なっている。1時間休憩時間になって寝ていることもあれば、1時間スマートホンをいじって終わることもある。また、先生の言葉が胸に響き、必死にノートにメモを残しながら有意義に過ごす授業もあるかもしれない。細かく分析した時に、学校にいる朝8時半から夕方4時までの時間8時間を一体どのように過ごしているだろうか。友達と話す時間、移動する時間、トイレに行く時間。その後予備校に行くまでの時間、帰宅してごはんを食べ、お風呂に入り、肌の手入れをし、残った時間はどれくらいあるだろうか。
上の表には、重要、緊急という軸で分類したが、高校生や浪人生は、自由に選択できる時間が少ない分、幅は小さいかもしれない。しかし、塾にも行っていない休日の場合、これは大きく変わるのではないだろうか。
緊急と、緊急ではないを分けるのが難しい場合は、「強制」か「強制でない」という具合に分けてもいいかもしれない。たとえば以下のようになるかもしれない。

(本当は枠を書いた中にわかりやすく書きたいのだが罫線がわからず)
第一領域(重要であり、緊急・義務・強制である)例
・受験科目と合致した有意義な選択授業
・提出期限のある宿題
・せっぱつまった問題
・病気や事故
・思わぬ災害

第二領域(重要であるが、緊急・義務・強制でない)
・授業の予習、復習
・英語の文法、単語、長文読解。
・世界史の教科書を読む、問題集を解くなど様々な受験勉強、睡眠、食事
・人間関係づくり、健康管理、準備や計画、意味のある気分転換、身だしなみ

第三領域(重要でないが、緊急・義務・強制である)
・退屈で居眠りのための授業
・避けられない来訪者
・必要な移動時間
・雑事、LINEなどにおける無視できないつきあい

第四領域(重要でもなければ、緊急・義務・強制でもない)
・暇つぶし。
・単なる遊び。ゲーム。
・だらだらスマートフォンを使う。
・無駄な電話。
・何もしない待ち時間。
・ぼーっと観るTV。
・不要なアルバイト。

このように分類した後、自分の24時間を割り当てていった時、どこが大きくなるだろうか。さすがに受験生で、第四領域が大きくなるようであっては、成功は難しいのではないだろうか。
このように分類しながら、24時間を正確に、細かく区切って(裂いて)、把握した時に、自分の心がどのように行動にあらわれているかを知ることができる。
そして、その有限な時間を有効に活用するために、第四領域の絶対数を減らし、重要ではないが避けることのできない第三領域の中で隙間時間を活用し、第一領域は「当たり前のことは当たり前にやる」を前提としながら、
【自分次第で大きく変えることのできる、義務ではないが、重要な第二領域】を豊かにしていくことを目指すことが重要になってくることがわかるだろう。

それは必ず「今」やらないといけないことなのか。それは必ず「自分」がやらないといけないことなのか。人に任せることができそうなものはリストアップし、任せることができる相手を書いてみるのも良い。

必ず一週間の計画を立て、その週の役割を目標を書きとめて、具体的な行動計画に移す。
一週間の終わりに、あなたの計画がどれだけ自分の深い価値観と目的を日常生活に反映したものだったか、あるいは自分の価値観と目的に対してどれだけ誠実だったかを評価する。

第一問
「もし、常日頃から行っていれば、あなたの私生活の質を著しく向上させる活動がひとつあるとするなら、それは何だろうか。」

第二問
「同じように、あなたの仕事の業績または結果(試験の結果)を著しく向上させる活動がひとつあるとするなら、それは何だろうか。」

最初の問に書きだした答え、この答えは一人ひとりによって違うものだろう。しかし、この答えが、時間の制約から大きく自由を得て、毎日継続的に実行でき、自分に良いリズムをもたらすようになれば、自分に自信もつき、見通しを持って日々を過ごすことができるようになるだろう。次回以降は、人間関係についての習慣が主となってくる。受験とは関係ないと思える部分も感じるが、親や先生、ライバルであり仲間でもある友人たちとの関係をいかに理想的に築いていくのかという視点で、紹介していこう。



『モチベーションを保つ自己管理術 3』

名著を要約して紹介しながら、受験で勝利を治めるためのメンタルトレーニングができるコーナー。今回はスティーブン・コヴィ氏『7つの習慣』の第二の習慣について記事を書いていこう。

この章を読む前に著者はこのように読者に対してすすめている。
「これから数ページを読むために、静かで邪魔の入らない、ひとりきりになれる場所に行き、生活の忙しさ、仕事(勉強)、家族の問題、友達のことなど一切忘れて、自分の意識を集中して心を開いてもらいたい。」
と書いてある。

ふむふむ。何だろう?と思いながらワセモンは活気のある美容室の待ち時間の中でこの先を読んでいた。(読書は場所を選ばない!と思って笑)

著者は続けている。「愛する人の葬儀に参列する場面を心の中に思い描いてほしい。あなたは、会場に向かって車を走らせ、駐車して、車から降りる。そして会場に入ると、花が飾ってあり、あなたは静寂な雰囲気に包まれる。その場に集まっている人からは、別れの悲しみがにじみ出ているのと同時に、故人と知り合いになれた喜びが感じられる。
 あなたは、会場の前に進み、そこに飾ってある写真を見る。すると、なんとそこにはあなた自身の顔が飾られている。…略。」

前途洋々とした高校生、浪人生など受験生たちには「お呼びで無い」内容が書いてあると思ってしまったかもしれないが最後まで読み進めてほしい。

ワセモンはここまで読んで、この章で言わんとしていることは大体(先を)読めた(見通せた)。

何について書こうとしているのか、予想できただろうか。

第二の習慣は、「目的を持って始める」ということだ。

著者は、章の始めに、根本的な問いを読者に投げかけたかったのだ。あなたは人生の幕を閉じた時に、あなたの死を惜しんで訪れてくる人たちに何を残したかったのか。友にとって、家族にとって、同僚にとって、どんな親であり、また子であり、先輩であり、同僚であり、後輩であり、どんな人(存在)だったと、言葉をかけてもらいたいかと。
『7つの習慣』は、目先の(ビジネス、立身出世、その場その場の人間関係の処世術)成功ではなく、人生の本質的な成功とは何か(本当の成功の定義とは何か)、をたえず考えさせながら人生の歩みについてガイドラインを示してくれている。

今回の「目的を持って始める」の章には、主に3つのキーワードがあげられる。

① 「成功のはしご」
② 「すべてのものは二度創造される。第一次創造と、第二次創造。」
③ ミッション・ステイトメントを書く(生活の中心をどこに置くのか)

まず①については、はしごをかけて、自分の持つ全ての労力、才能、時間を注ぎ込んでそこを登りつめた。やっとのことで登りつめて、到達したフロアに立ってみたら、「ここが私の目指した場所だったのか?いや、ここじゃない!どうしてはしごをかけるところを最初に間違ってしまったのか!」と、過ぎてみて初めて後悔してしまう人が、あまりにも多いということだ。
受験に関しては、まずはしごをかけない、はしごを登らないで後悔する人も多い。本気になれば自分はできる、まだ自分は本気を出していない、そういってやるべき時を逃して、最後に「大学受験って難しいってことがわかった。」とわかって後悔するパターンだ。

しかし、努力の方向、努力の方法を間違って、得るものを得たけれども、「思っていたもの、本当に望んでいた結果」とは違った結果になってしまって後悔する人もいる。
「7つの習慣」では、それを人生という最も大きなスパンで、「何のために生きていくのか」という部分に目を向けながらも、短期中期的な1つ1つの課題に対して、「どこにはしごをかけるのか=目的は何なのか、努力の方向性はどこを向いているのか」ということを非常に重視している。

それが②の「二度創造」というキーワードにつながっている。

すべてのものは二度創造される、とはどういうことだろうか。
著者は、すべてのものはまず「知的な第一次創造」をなす、としている。
たとえば、家を建てるとしよう。大工には「二度測って、一度で切る」という格言があるらしい。そのくらい、「正確に」設計図を書く、構想するのが大事だ、ということを示しているのだ。どんな家にするのか、リビングの広さ、間取り、庭には何の木を植えるのか…。楽器練習用に防音室も設けるのか、目的によって、結果が大きく左右される。
会社も、達成しようとしている目的が明確ならば、ターゲットとする市場はどこで、どんな商品やサービスを提供するのか、そこから資金、管理、マーケティング、人事、機材などの各資源を組織する。
学校も同じだ。どういう学校にするのか。文武両道にするのか、開成高校のように、東大に合格するために二年生の内に部活を全員引退するのか、それともスポーツ推薦を実施して全国屈指の強豪校をつくるのか。そのためにどんな先生を集めて、どういう授業計画で学力を高めていくのか、目的(レベル)に合わせて受験生が集まり、その方向性(学校経営計画)に合わせた学校になっていく。

ワセモンのこの企画も、「モチベーションの保ち方」というタイトルで連載しているが、このモチベーションと大きく関わる部分が、この「目的」、つまり、第一次創造にあたる部分だ。「~のために早稲田に行く」→「早稲田に行くための努力、成果」という「結果体としての」第二次創造が生まれる。

早稲田といえば「私学の雄」「反骨精神」「世界からしたら東大・早稲田が日本の大学」「留学提携数日本一」「一流の学生が集まる早稲田」様々な評判がある。
ワセモンは、このような記事を書くくらい「個性的」な高校生だったから、早稲田に行けば浮かないだろう、早稲田に行けば志の高い人間と会って面白いことができるだろう、世界に通用する人間になれるだろう、そのような思い(目的)で受験勉強を乗り切ることができた。田舎から出てきた自分にとっては、受験前日に初めて本物の大隈講堂、門なき門を見て、感動したことが懐かしい。

そしてこの章の結論部分になるのが、③のミッション・ステートメントだ。(個人的憲法、または信条、と訳してある)

ワセモンはこれを、憲法という言葉よりももっと適切な日本語があると思った。記者になった友人、外交官になった友人、異例の若さでとある地区の行政のトップに就任した人物(友人の結婚式でスピーチをしていたのだが)も、共通して使っていた言葉が、「使命」だ。

使命感というものは、時に自分が予想するキャパシティー以上の大きな力を発揮する。
著者は、その友人ロルフ・カーの信条を紹介している。

「まず家庭で成功しよう。神の助けを求め、それにふさわしい生活をしよう。どんなことがあっても正直に生きよう。貢献してくれた人たちを忘れず、感謝しよう。貢献してくれた人たちを忘れず、感謝しよう。判断を下す前に両者の言い分を聴こう。助言は素直に受けよう。陰口を言わず、その場にいない人を弁護しよう。誠意を持ちながら強い決断力を持とう。毎年、新しい才能をひとつずつ身につけよう。明日の仕事は今日計画しよう。持ち時間を活用しよう。前向きな姿勢を維持しよう。ユーモアを忘れないようにしよう。公私にわたり秩序正しく生きよう。失敗を恐れず失敗から学び、成長の機会を逃すことをおそれよう。部下の成功を助けよう。自分が話す二倍の時間、人の話を聴こう。次の作業や昇進にとらわれず、今行っている作業に全力を集中しよう。」

なるほど、これがミッション・ステートメントか。

その後、生活の中心をどこに置くのか。夫・妻中心、子ども中心、友人中心、敵中心、仕事中心、お金中心、所有物中心、宗教組織中心、自己中心というくくりで分類し、それぞれを中心にした際の「安定性」「方向性(意思決定)」「知恵(生活のバランス感覚)」「力(目標達成の力)」というグループに分けて長短を分析している。そこについては割愛する。

著者が最も強く主張していることは以上のどれでもなく、「原則」を中心にして生きるということだ。「7つの習慣」で一貫するのは、民族的な風習、宗教を超えて存在する普遍的な「原則」(著者の表現から推測すると、「正しいと共感を得るもの、批判されないもの」)を身につける、ということだ。
しかし、それが何か、は書かれていない。書くとビジネス書ではなく宗教書になってしまうからだろうが、経験則的に、○○な時は××だよね、という書き方がずっと続く。

ただ、言わんとすることはここまで読んで伝わったと思う。

「モチベーションを保つ」

ということにおいても、
自分にご褒美をあげるとか、学校で自習する前に友達と学校前のコンビニでジュースとチョコレートを買うとか、中短期の目標を書きだして、ワセモンなんかは毎日やることを書いては消していく、カレンダーには必ず良くても悪くても、過ぎた日は赤丸で○印をつけていくとか、工夫していたことはいくつかある。

ただ、根本に置いていたものはあった。友達と、「将来~な人間になって、…なことをやりたい」そんな話を、よく語り合ったものだ。男だから、そういう「志」みたいな部分で、共感して、熱くなるというのは、すごく大事にしていた。

でも男だろうが、女だろうが、「早稲田ならモテる」とか、「早稲田なら遊べる」とか、「早稲田なら一流企業」にとか、それも構わないけど、この記事を読んだ人には、家族とか、出身地域の貢献とか、この日本とか、世界とか、未来のために、がんばりたいと思って、受験勉強に励んでもらいたいという気持ちはある。次回は第三の習慣を紹介する。



『モチベーションを保つ自己管理術 2』

先週から、ビジネス書として超ミリオンセラーとなった著書『7つの習慣』を、受験に置き換え、全ての受験生のために特化して要約を紹介している。

今週は、『7つの習慣』の内、第一の習慣「主体的に生きる」について述べていこう。
この本では、「私的成功が公的成功に先立つ」をコンセプトにしており、序盤はいかに個人として成功するかということについて集中的に書かれている。公的成功、私的成功とは何か。受験で言えば、東大に合格した、早稲田・慶応に合格した、という成功の前に、自分自身の怠け、身の回りにある誘惑など内面の成功があってこそ、結果として「合格」など目に見える成功があるということだ。オリジナルの言葉でいうと「官僚になった」とか、「社長になった」とか、年収が「2000万」とか、そのような外的成功よりも、「人格の完成」「自分自身の内なる成長」という私的成功がともなっていないならば、「私」よりも外にある、家庭、学校、会社、地域、国家に対して評価を得たり、貢献することは難しい。順番として、「自分自身を作る」ことに目を向けることが優先されるべきだ、としている。

さて、第一の習慣「主体的に生きる」とはどういうことか。
著者のコヴィー氏によると、その反意語として「反応的」という概念を打ち出している。
反応的な生き方とはどういうことかというと、自分自身に降りかかってくる様々な出来事の通りに、無防備に影響され、振り回されて生きるということだ。たとえば、模試の結果がE判定だったという「刺激」に対して、E判定だから自分には見込みが無い、諦めるしかない、というようにマイナス要因としての刺激の通りに受け止めてしまうことを「反応的」だと定義している。主体的とは、自分がある出来事や刺激に対して、反応を「選択」することができる人間だと悟ることから始まる。

あなたが物事に対して受験勉強に対して、どこまで「主体的」になれているのか、それとも「反応的」に陥っているのかは、あなた自身の言葉を振り返れば見えてくる。
「僕はそういう人間なんだよ。生まれた時からずっとそうだし、変えられない。暗記は苦手なんだ。」
→生まれた時に決定づけられて、自分は何もできない。
「勉強できないよ。自由な時間が少なすぎる。」
→時間という制限にコントロールされている。
「あいつは本当に頭にくる。要領もいいし、いい家に住んで、塾にも通っている。」
→自分ではコントロールできない外の要因が、自分の感情を支配している。
ここで強調しておきたいことは、言葉が「自己達成予言」になるということだ。

主体的になるためには、自分の中に主体的な言葉を持ち、消極的(否定的、環境決定的)考えから主体的(肯定的、前向きな)な考えに変化させていくことが重要になる。
つまり、
・どうしようもない→代替案は無いだろうか
・生まれつきこうだ→他のやり方が選択できる
・あいつはムカつく→自分で自分の感情をコントロールできる。ムカつく場面でムカつくことも、ムカつかないことも自分で選択できる。
・しなくてはならない→自らそうすることに決めた
・○○でないと駄目だ→○○の方がいいと思う。
・○○でさえあったなら→私が○○をする。

ここまで読んで、書いて欲しいものがある。これに関して言うと、受験を超えた部分の話になってくるのだが、まず自分が関心があるものを紙に書き出して欲しい。たとえば、国語、英語、日本史など受験教科の得点アップ、好きな自転車、週1のバイト、好きなドラマ、友人関係、親との関係、先生との関係、部活でやっているサッカー、大学について、将来つきたい仕事について、いろいろ書けるだろう。それを丸い輪で囲む。それを「関心の輪」と定義している。

次に、「関心の輪」に対して、自分が強くコントロールできるもの、積極的に働きかけていけるものを選んで○で囲んで欲しい。多くの人が、関心の輪の内側に、輪ができただろう。それを「影響の輪」という。おそらく、高校生であればというか、若ければ若いほど影響の輪は小さいのではないだろうか。親の保護下や学校の校則下に置かれている分、自由度も低く、思うようにできないと感じている人も少なくないだろう。

さて、ここで重要なことが、自分の意識が主に関心の輪、影響の輪どちらへ傾いているかということだ。自分にとってどうしようもない他人の欠点、被害者意識など自分が影響力を行使できないと思っている影響の輪の外へ向かっているなら、それが消極的なエネルギーとなって次第に影響の輪が小さくなってしまう。逆に主体的な人は、肯定的に考え、自分にどうしようもできない要因、親の収入、自分の暮らし、通っている学校の先生、受けている授業の内容など、左右しがたい環境的な要因(影響の輪の外)ではなく、1つ1つの勉強についての計画、自分の長所と短所の分析、忙しい中での隙間時間の工夫など、自分次第で働きかけることができる、自分で左右できる影響の輪に意識が向かっている。結果として、影響の輪が次第に膨らんでいく。それと共に関心の輪も広がり、自分自身の器がどんどん広がっていく積極的なエネルギーを生み出すことになる。

抽象的でわかりにくい文章になったかも知れないが、核心は何かというと、自分が直面する「全ての問題は影響できる」ということだ。
①自分の行動と関係している問題
②間接的に影響できる問題(自分と関わりある他人の行動と関係している問題)
③まったくコントロールできない問題(誰も影響できない問題、過去のできごと)

①勉強に向かない性格も、人の性格ではない。自分の性格だから、変えることもできる。生まれつきだから変わらない、変えようがない、という時点で、「生まれつき」という考えに縛られていることになる。他の具体例については、読者自身に考えてほしい。自分の行動と関係し、自分が直接左右できることについて。

②たとえば、親が理解を示してくれない。早稲田を受けたいと言っているのに認めてくれない。先生が応援してくれない。先生の授業が受験に対応していない。最終的には、親を説得するためにどうしたらいいのか、それについてはこれから紹介する他の習慣でもヒントになるものは紹介するが、親と話すときの自分の態度、親へ伝える自分からの情報は、変えることができる。親を変えようとする前に、親にとっての刺激である「自分」が変われば、自ずと「反応」も変わってくるかもしれない。

③まったくコントロールできないこと。大学の難易度、出題される入試問題、授業料その他、様々あるだろう。しかしそれに支配されるのではなく、その難易度、合格レベルを突破できるように自分の学力を伸ばすことはできるし、出題される入試問題も、日本で定められている教育の内容を超えて、外国で教えられていることを学ぶとか、突飛なものではないから、訓練すれば、対応できる。1000のうち10しか出てこないとしても、10を不正に知ろうとするのではなく、1000のうち限りなく1000に近いだけマスターできるように、その中のどこが出てもいいように対応していくのが受験勉強ではないだろうか。

以下、『7つの習慣』109ページの内容をそのまま抜粋する。「アルコール依存症連合会という断酒団体があるが、その座右の銘はとても参考になる。『主よ、変えるべき変えられることを変える勇気を、変えられないことを受け入れる平和を、そしてその区別をつける知恵を与えたまえ』

ここで変えるべきことは、自分の喫煙という「習慣」で、変えられないことを受け入れる平和というのは、喫煙を続けると健康を害するということと、経済的負担などのリスクは、どれだけあがいても嫌でも、タバコが健康にいいものにはならない。どうしようもないことを、「何で!」と怒っても仕方がないということだろう。


日々自分の自由の芽を伸ばし続ける人は、徐々にではあるが自らの自由を拡大されることになる。そうしなければ人の自由は枯れていき、やがては自分自身の人生を生きているというより、両親、学校、社会全体が押し付けた脚本に沿って行動しているだけにすぎなくなってしまう。どういう状況に置かれるかは、自分自身の「選択」の責任が大きい。

 サミュエル・ジョンソンは次のように述べている。

「満足の泉はその人の心に湧き出るものでなければならない。自分自身の人格以外のものを変えることで幸福を求める愚かな人は、実を結ばない労力に人生を浪費し、避けようとしている悲しみを倍増させるに違いない」

「モチベーションを保つ」というテーマで連載しているが、今回はモチベーションが上がらない様々な要因に対してどう対処していくのか、その根本的な心の持ち方、とらえ方について、「外的内的要因に左右される反応的な生き方ではなく、自ら肯定的な考えを持ち、肯定的な言葉を発しながら主体的に生きることで、目の前の受験勉強という問題に対して、前向きに積極的な活動エネルギーを発揮できるようにしよう」ということを紹介した。次回、第二の習慣について紹介しよう。







『モチベーションを保つ自己管理術』 1

「煩悩をどうやったら無くすことができますか?」という真剣な相談を受けることもあるが、どうやったら勉強したく無い時に机に向かえるようになるのか、勉強中に雑念にとらわれないようにするにはどうしたらいいか、「自己管理」ということについて悩んでいる受験生も多いと思う。

受験は「自分との戦い」とよく言われるが、それは何も受験だけに言われることではない。様々なスポーツの試合もしかり、大学生にとっての就職活動や、資格試験もしかり、最近では婚活についてもそうかもしれない。人生の節目には必ずといってもいいほど、「それまでの自分がどうだったか」ということが試されることの連続だ。

このページでは勉強方法や、単に成績を上げるという目先の成功論について述べるのではなく、もっと本質的な成功、つまり、「自分がどんな人間になるのか」という部分について目を向けるきっかけにしていく予定だ。

さて、今回「合格を掴む性格になる」というタイトルで連載していくのは、名著といわれる古典的名著の紹介だ。はじめに、ビジネス書として最高の評価を受けている、スティーブン・コヴィ氏の「7つの習慣」について連載していこう。特に、このシリーズで各書籍のエッセンスを抽出しながら受験勉強に焦点を当ててかみ砕いて紹介しようと思う。

まず、「7つの習慣」の根底にある考え方として、「アウトサイド・イン(外から内へ)→インサイド・アウト(内から外へ)」という発想の転換がうたわれている。どういう意味か説明しよう。状況をとらえる時、もしくは状況に対して働きかける時にどういう方向で認識するのかということだ。具体的に言うと、自分は偏差値が50しかない。早稲田に行きたいのだけど、残り1年も時間が残っていない。判定はE判定だ。そのような状況に自分が置かれている時に「外から内へ」考えの方向が向かっている人は次のように考える。

自分は予備校に行けないが学校の授業は全然ダメだ。先生は教え方も下手だし、自分のレベルとは合っていない。部活もやっていて、高校一年の時からやってきたから最後までやるつもりだが、6月下旬までは続きそうだ。大会前で勉強する時間も一層少なくなりそうだ。家庭はというと、親は高卒で就職したから大学受験について理解は無いし、自分は長男で初めての体験で本当に不利だ。あぁ、自分はなんて不遇なんだろう。いい先生もいなければ、親もどうしようもない。これでは早稲田なんて無理だろうなぁ。そのように、「外にある」要因を中心に、人生に生じる様々な出来事を判断、認識していくことが「アウトサイド・イン(外から内へ)」の生き方だ。

それに対して「インサイド・アウト(内から外へ)」の原則を持っている人は次のように考えるだろう。自分の現在の偏差値は50だ。早稲田にはE判定だがどうしても行きたいと思っている。志望校がはっきりしている時点で勉強をするということに対しては前向きでいるからいい。また、自分は予備校も行けないけれど、自由選択科目が多くなって自由時間が多くなった学校のスケジュールをフル活用して、計画的に取り組もう。英語の単語テストについては面倒くさいが、自分の単語の勉強のペースメーカーもしくは復習として活用することもできるだろう。部活が6月まで続くが、自分は高校一年生から、初心者として吹奏楽部に取り組んできた。慣れない楽器だったが、一生懸命練習して根性と体力はついた自信がある。確かに練習時間は長いが、隙間も時間を合わせるだけでも一日2時間は最低勉強ができる。この忙しい毎日の中で目標を持って過ごせば、引退した時には今の3倍以上のエネルギーを勉強に傾けることができるだろう。親は大学には行っていないが、受験することについては応援してくれる。弟や妹も、まだ大学に行っていないから、比較されない分気楽だ。どうなるかわからないが、最後までやってみよう。このように、外の要因に自分の人生に依存する(左右される)のではなく、自分自身から積極的に肯定的に働きかけていく生き方が、「インサイド・アウト(内から外へ)」の方向だという。

マリリン・ファーガソンは以下のような言葉を残している。
「誰も説得によって人を変えることはできない。すべての人は固くガードされた心の変化の扉を持っており、その扉は中からしか開けられない。説得や感情に訴えることによって他人の扉を外から開くことはできない」のである。つまり、人は誰かによって変化させられるのではなく、きっかけを得た自分自身が、変化の扉を開くことによって変われるということだ。

アポロ11号が月へ行き、初めて人類は月面を踏み、そして地上に戻ってきた。しかし、月に行くまで最も困難な行程はどこだっただろうか。それは、地中を支配する引力を克服し、そこから突破する瞬間にあった。ロケットが上昇する最初の数分間、数キロで必要としたエネルギーは、それから後の数日間、約70万キロに及ぶ旅をするために使用したエネルギーよりはるかに上回るものだった。それと同じように、人間の習慣(性格)も極めて強い引力を持っている。飽きっぽい性格、怠ける性格、ついついエッチなことを考えてエッチなものを見て楽しんでしまう性格、怒りっぽい性格、人の話を聞かない性格、すぐ不平不満を漏らす性格など様々な引力に縛られているのだ。ガンダムを知っている人の言葉で表現すると、「重力に魂を引かれた存在」なのだ。シャアが小惑星アクシズを落として全ての人を宇宙に引き上げ、人類の革新(ニュータイプ化)をうたったように、この「合格を掴む性格」シリーズではまず、「7つの習慣」を紹介しながら、克服すべき性格・習慣を明らかにし、自分を不合格、浪人へと取り残そうとする引力を打ち砕いて欲しいと願う。最後にふざけた表現をはさんでしまったが、いたって真面目に真剣に、週一度のペースで7週間かけて連載しようと思う。「モチベーションを保つ自己管理術」を通して自分の性格と向き合い、実践して、成績向上に生かしてもらいたい。



『動機がいかに大事か』

「動機がいかに重要なのか」

志望校に合格する人は一体どんな特徴を持っているのだろうか。
千人単位の受験指導にあたってきた先生に聞いてみた。
以下、インタビュー形式でまとめた合格しやすい性格を紹介する。
Q「受験でうまくいく人と、うまくいかない人、そこに何の差があるのですか?」

A「何をもってうまくいく、というかが問題だけど、苦労しないで自分が行ける大学に行く方法はいくらでもある。少子化で大学全入時代になった今、推薦であっさりと合格を決める人も多い。しかし全入時代と言えど、いわゆる難関大学での競争という部分では、易しくなったわけではない。」

Q「行きたい大学に行けるか、行けないかだとどうですか?」

A「まず、ベネッセなどの進学説明会でいわれることとして、志望校を早めに決めた方が合格率が高くなる、というデータはある。具体的には高校二年生の1月の時点で第一志望がはっきり決まっている人の合格率が80%を超えるのに対し、高校三年生の4月になると65%に落ちるといわれている。目標を早く定めることができれば、その分対策も具体的になり、また勉強する時間が長くなる分、学力を伸ばしやすいということがあるからだと思う。」

Q「目標を持って早く始めるということが大事なのですね。目標を持て無いという悩みをよく聞くのですが、そういう人にアドバイスはありますか?」

A「残念ながら目標を持て無い人、志望校が決まらない人に即効性あるアドバイス、というものはありません。部活なども、監督から無理やりやらされる練習と、選手が納得して意味をわかって取り組む練習では、全く質が異なるのと同じように、勉強も先生や親にやらされでやるのと、本人が望んでやるのでは、結果が全く異なります。現実問題として、大学に行ってから将来の夢を見つける、という高校生も非常に多いし、とりあえず行ける大学へ行く、最後まで勉強して一番偏差値の高い大学を目指すというパターンが一番多いです。逆に言うと、どうしてもこの大学に行きたい、そこで○○をしたい、という目的、強いモチベーションを持った人が、スランプに陥った時ややる気が出ない時、挫けずに最後まで努力することができるという傾向ははっきりしているね。」

Q「勉強のモチベーションを高く持てるかどうかが、受験の合否を分ける鍵になるようです
ね。志望校が決まっている人も、決まっていない人も、やはりモチベーションが下がっ
てしまうことがあると思うのですが、自分のモチベーションをどう維持したらいいので
しょうか?」
A「モチベーションがどういう時に下がるのか分析する、というのも大事かもしれませんね。人によっては、計画を立てたけどその計画がうまくいかなくなって挫折感に陥ってダメになることがあるし、模試で結果が出ずにやる気を失うこともある。また、バイトやドラマなど、勉強以外のことに気を取られていつの間にか机に向かわなくなるなど。そういう、目的を達成することを阻害する要素を見つけて、コントロールしていく力というのが受験生には大事な部分だろうね。」

Q「自己管理ということですね。具体的に良い方法はありますか?」
A「受験勉強は、本人の性格にずいぶん左右される部分があるね。面白いのは、学力という
か、実力が伴っていない人ほど自分を過剰評価していて(自信を持つというのはいいこ
となのだけど)、その自信が災いして逆に怠けになっている場合、どうしようもない。俺は本気を出せば伸びるとか言っているうちに1月になり、焦ってやってみるけど時すでに遅しで終わってみて、「大学受験って厳しいんだね」、なんて言っていることが多々あった。自信が無い方がいいのかというとそうでもなくて、勉強が進まないとか、合格するかどうかとかそういう心配ばかりで気持ちがいっぱいになって勉強が手につかないという子もいる。自分を正しく知るということと、ゴールを正しく知るということが大事なのかな。その2つがよくわかっている時に、具体的にゴールまでの道のりを自分ではかることができるし、そのために時間はどれくらいかかりそうで、どういう努力をしなければならないかわかるから。案外、学校の授業や定期考査はそこまで優秀でないのに、蓋を開けてみたらすごい大学に行きました、というケースも少なくない。また、これは女子に多い傾向があるけど、まじめで優秀だけど、いわゆる一般向きではないということが本人もわかっていて、着実に指定校を選ぶ子もいる。臆病ではあるけれど、それが賢明な選択、ということも実際ある。事実、全国模試など、受験学力をはかるテストに弱い優等生もいる。」

Q「今回のインタビューのテーマなのですが、合格しやすい性格ってありますか?」
A「さっきも言ったように、性格で左右される部分が多いのは確か。でも、正確に表現すると、考え方というか思考パターンというか、意識して変えられる部分もある。事実、受験指導を終えて卒業していく生徒に、「受験で、勝負して、自分は変われた」という言葉をかけてもらうことが何度もあった。」

Q「具体的に教えてください。」
A「第一志望に合格した人も、必ずしも最初から順調だったわけではない。4月の時点でA判定だった、という人は実際少ない。受験勉強をしながら、壁にぶつかることがあれば、その度に相談して、愚痴を聞いてもらって、先生からアドバイスをもらったり、友達と励まし合っていく中で復活して、がんばって強くなって、また壁にぶつかって、また立ち上がって、その連続だった。」

Q「諦めないことが大事、ですか?」
A「そうだね。諦めない、ということは絶対条件だね。それと、さっき書いたことと矛盾す
るけど、楽観的であることも大事。自惚れて、やるべきことを疎かにすることにつながる楽観というのはダメになるパターンだけれど、やるべきことをやることに集中して、その結果については楽観的である、ということかな。もっとカッコいい言い方をするなら、成功を信じて努力を怠らないということだろうね。」

Q「努力は裏切らない、ですか?」
A「努力に関しては、そこは楽観的であったらダメなんだよね。よく、こんなに頑張ったのにダメだった、と嘆いたり、自分の才能の無さを口にする人がいるけれど、本当にモチベーションがある子は、途中でそういうことを口にしないね。まだやりきれていない部分があった、ここを見落としていた。模試が帰ってきた時に、判定とか偏差値のことばかり気にしている子は、感情的になって浮き沈みが出るけど、自分に対して厳しいというか、目的を達成することに集中している子は、冷静に分析して、何が悪かったのか、そこを徹底的に復習しているよ。」

Q「なるほど。ここでもモチベーションという言葉が出てきましたね。」
A「志望校がはっきりしていも、モチベーションというか、心は浮き沈みもあるし、やる気がある日もあれば、無い日があるもの。それをどうするかが、受験生が抱える一番の問題だろうね。」

Q「高校三年生にとってはもう一年もありませんが、1月のセンター、2月の一般入試、3月の国立入試までモチベーションを保つ秘訣はありますか?」
A「秘訣なんて無いだろうね。それがわかってたら落ちる人はいないし、わかってても実践できなかったら成功しないしね。ただ、やっぱり一日一日やっていくしかないでしょう。僕は趣味で登山をするけど、富士山を登ることだって、山頂だけを見ていたら登山は辛い。ひたすら高い、ひたすら遠いからね。雲で山頂が見えない時もあるし。登山の面白さは、過程にあるでしょう。雲を見下ろす時もあれば、高さと共に植生する木々も変わっていくし。一緒に上る友達と腰を下ろしてお茶を飲んで話すこともあれば、山小屋でカレーを食べる時もある。ご来光を見ようと思って夜中に出発したところ、ふもとの花火大会を見下ろすこともあれば、満天の星空と、空に流れる天の川を運が良ければお目にかける時もある。そうやっているうちに、頂上に着く。受験も同じでしょう。4月には4月にやることがあり、5月には5月、夏休みには夏休み、それぞれ、やるべきことがあって、それは一人ひとり違う。理想の勉強法とか、理想の参考書とか、確かに、セオリーとか、共通性、いいものはいいと部分もあるけれど、それは人によって違ってくるのではないかと個人的には思ってる。ただ、途中途中いろんな試練があるけれど、最後の目標を失わず、その時その時やるべきことに集中している人が、最終的には成功しているように思える。」

Q「ありがとうございました。受験以外でも言えそうな話ですね。」
A「自分の時もそうだったけど、大学4年間の全てを合わせても、受験生時代に勉強した時間には及ばないんじゃないかというくらい、大学受験は勉強した、という人が多い。まぁ、自分の周りはそうということだけど。それくらい「あの時は勉強した!」といつ振り返っても言える時代があるというのは、人生の中でプラスになるんじゃないかなと思う。」


今回のインタビューで、モチベーションを保つ、自己管理をすることの重要性がわかりました。次回からは名著「7つの習慣」からエッセンスを抜粋しながら、受験勉強に特化してシリーズで連載していきます。








『モチベーションの保ち方』

<毎日続ける高校生日記>
自分が高校生の時に使っていたモチベーションを上げる方法があります。
それは『日記を書くこと』です。
簡単です。ただ書けばいいんです。毎日。
その日にあったこと、感じたこと。
勉強に関して、うまくいったことや、うまくいかないこと。
本当になんでもいいから、書いていました。
書きたくない日もあるでしょう。
そんな日は、

「疲れた・・・今日は早く休んで明日がんばろう。」

そんな一言でもいいです。
書き続けた人にだけわかるものがあります。
その喜びはやった人だけがわかります。
毎日やっている勉強・部活動・趣味・高校生活。
これがたまに嫌になる時あるじゃないですか。
成長しているのか不安になることあるじゃないですか。

でもこの毎日書いてきた『日記』を見ると前に進んでいるのが見えるんです。
文句言ったり、すねたりする日もあったけど、
過ぎた日を見てみるとがんばり続けた自分がいます。
それに気づかせてくれるのが『日記』です。
自分にしか書けない世界でただ一つの高校生日記・・・
今日から書いてみたらどうでしょうか?